「菊竹清訓 山陰と建築」展の記念講演会に参加して。
皆さま、こんにちは。
アートブロガーの町平亮です。
「菊竹清訓 山陰と建築」
会期:2021年1月22日(金)~3月22日(月)
場所:島根県立美術館
この展覧会を記念した講演会が、去る2月7日に開催され参加してきました。
講師は千代章一郎先生です。
(島根大学 学術研究院 環境システム科学系 建築デザイン学コース教授)
講演会のタイトルは「風景の建築家 菊竹清訓」。
90分のお話で専門知識もない身ですが、メモを取りながら耳とステージのモニターに集中して、講演会が終わった時にはすっかり頭痛が始まってしまいました。
自宅にもどり、展覧会チラシとその余白に書き込んだメモを見ながら、気になったポイントをまとめたのが次のとおりです。
①菊竹建築の特徴は柱と屋根にある。
②精密な設計図面。驚きの手書き。
③「か・かた・かたち」理論は日本の芸道論(例えば、茶道や武道)に通じるものがある。
④日本の建築家は自邸を通して、自らの建築哲学を表現し、住まうことでその理論を深める傾向がある。
⑤西欧の建築は永続性や完結性を求めるものが常だが、日本の建築は時間の経過とともに変わることをも良しとする。
⑥日本建築の変化性は平安時代の寝殿造りから見てとれる。それは建具で室内を区切ることで、自由自在に部屋の間取りを変えられるようなこと。
特に目からウロコだったのが、①の柱と屋根の話です。
展覧会名に山陰が入っているように、島根県の松江市には菊竹建築作品が集まっています。建設年順に列挙しますと、
・島根県立図書館(1968年)
・島根県立武道館(1970年)
・田部美術館(1979年)
・島根県立美術館(1998年)
実は講演会の前に展覧会を見てしまったので、後付けで納得した話なのです。
説明を受けて、なるほど確かに柱と屋根が妙に気になるようになりました。
一見すると奇をてらっただけのデザインかと思いたくなりますが、実は周囲の環境との調和や建物内の空気の流れを計算しての形であったりするそうです。
このような話を聞いてしまうと、これから他の建築家の作品でも柱と屋根ばかりに気を取られそうになる予感がします。
④~⑥は日本の建築のある側面の話です。これらを一般論として捉えてよいかどうかは、自分なりにこれからしっかりと消化しなくてはなりません。ただ、講演で聞いたときにはすごく腑に落ちました。建築における日本人論、なんて言うと硬すぎるテーマですが、今後もし海外で暮らすようなことがあれば(おそらくはないですけど)、日本家屋の心地よさの原点が見えた気がしました。
もし良ければ、noteで書いている記事もどうぞ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。